365メディカル連載|第3回

医療DXの工程表を読む
——いつ・何が始まる?

ロードマップを図解で整理。
「今すぐ必要なこと」と「2030年までに来ること」を分けて考える

📅スケジュール
🗺️ロードマップ
🔄段階的な変化
今すべきこと

クリニックの医院長・事務長向け:医療DX工程表の読み方

本記事では、医療DXの推進に関する工程表を、クリニック経営・医療機関のバックオフィス運営の視点で整理します。 オンライン資格確認、電子処方箋、電子カルテ情報共有サービス、標準型電子カルテ、診療報酬改定DXについて、 いつ何が始まり、医院長・事務長が何を準備すべきかをわかりやすく解説します。

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「医療DXは大事なのはわかった。でも、何を、いつまでに、準備すればいいの?」——そのための地図が「医療DXの推進に関する工程表」です。 今回は、この工程表を医院長・事務長の視点でわかりやすく読み解きます。

🤔
「工程表って、難しそう……」
大丈夫。今日は「鉄道の路線図」のように、順番に整理して解説します。
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工程表とは?——「いつ・何をするか」を決めたロードマップ

令和ビジョン2030を「実際の行動」に落とし込んだ計画書

「医療DXの推進に関する工程表」は、第2回で紹介した「医療DX令和ビジョン2030」という大きな目標を、「いつ・誰が・何をするか」に具体化したスケジュール表です。

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電車の路線図で考えると…

「東京から大阪に行きたい」という目的(ビジョン)があっても、どの電車に、何時に乗ればいいか分からなければ動けません。 工程表は、目的地までの「時刻表と乗り換え案内」のようなものです。

各医療機関は、自分たちが「どの駅にいるか」を確認して、次の電車を逃さないよう準備することが求められています。

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工程表が整理する6つの領域

それぞれが「つながり」を持つ一連の改革

工程表では、医療DXを次の6つの領域に分けて、それぞれのスケジュールを示しています。

領域主な内容医療機関への関係
①オンライン資格確認医療情報共有の「玄関口」として機能する基盤すでに原則義務化。マイナンバーカードでの受付対応
②電子処方箋処方・調剤情報のデジタル化発行・受け取りのシステム対応が必要
③電子カルテ情報共有サービス3文書6情報などの標準化・共有電子カルテの対応状況確認が必要
④標準型電子カルテ中小医療機関向けの標準化された電子カルテ紙カルテ・旧式カルテ医療機関は移行検討が必要
⑤診療報酬改定DXレセコン改修・算定ロジックの標準化改定のたびのシステム改修コスト削減につながる
⑥医療情報の二次利用データを政策・研究・予防医療に活用将来的にデータ提出が求められる可能性
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時系列ロードマップ——何がいつ来る?

「すでに来ているもの」から「2030年のゴール」まで一覧で見る


導入済
義務化済

オンライン資格確認(原則義務化)

マイナンバーカードや健康保険証でその場で資格確認ができる仕組み。全国医療情報プラットフォームへの接続入口でもある。電子処方箋や電子カルテ情報共有の基盤にもなっている。

📈
普及中
普及推進中

電子処方箋の全国普及

処方せんを紙ではなくデータで発行・受け取る仕組み。薬局と医療機関の情報連携がスムーズになり、重複投薬・飲み合わせ確認にも活用される。国は全国の医療機関・薬局への導入を推進中。

2026
拡大期
2026年前後

電子カルテ情報共有サービスの本格展開

3文書(診療情報提供書・退院時サマリー・健康診断結果報告書)と6情報(傷病名・アレルギー・薬剤禁忌・感染症・検査・処方)の共有が始まる。病院間での患者情報の受け渡しがデータ化される。

2026
進行中

診療報酬改定DX——共通算定モジュールの整備

レセコン改修の負担を減らすための共通計算プログラムの開発が進む。令和8年度改定以降、徐々に実装されていく予定。改定のたびにかかるシステム費用が将来的に大幅削減される見込み。

2030
ゴール
2030年目標

標準型電子カルテの普及——「概ねすべての医療機関」へ

中小規模の診療所も含め、標準化された電子カルテを通じて、必要な患者情報を共有できる状態を目指す。紙カルテや独自システムのみで運営している医療機関は、この期限を意識した計画が必要。

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電子処方箋——紙の処方せんがなくなる日

薬局と医療機関をつなぐ「デジタルの橋」

電子処方箋とは、医師が紙ではなくデータで処方せんを発行し、薬局がそのデータを受け取って調剤する仕組みです。

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スマホでのショッピングで例えると…

昔はお店に行って紙のカタログを見て、紙の注文書を書いていました。 でも今は、スマホでそのまま注文できます。商品の在庫確認も即座にできる。

電子処方箋は、医療版のオンライン注文です。 医師が処方を入力 → データが薬局に届く → 薬局が準備する。 さらに、他の薬でも同じものを飲んでいないかも、システムがチェックしてくれます。

医療機関のメリット

処方せんの手書き・印刷・渡す手間が減る。薬局との連絡がスムーズになる。重複投薬のリスクを減らせる。

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患者さんのメリット

薬局に紙を持っていく必要がなくなる。お薬手帳アプリとの連携も可能。薬の情報管理がスムーズになる。

電子処方箋を発行するには、オンライン資格確認の設備を整えていることが前提です。まず「オンライン資格確認は動いているか?」を確認しましょう。
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電子カルテ情報共有サービス——「3文書6情報」って何?

医療機関間でやりとりする情報の「共通書式」を学ぶ

「電子カルテ情報共有サービス」は、全国の医療機関や薬局などが患者の電子カルテ情報を共有する仕組みです。 その中で特に重要なのが「3文書6情報」です。

区分具体的な内容
📄 3文書①診療情報提供書(紹介状) ②退院時サマリー(退院サマリー) ③健康診断結果報告書
📊 6情報①傷病名 ②アレルギー情報 ③薬剤禁忌情報 ④感染症情報 ⑤検査情報 ⑥処方情報

これらの情報を、共通のデータ形式(HL7 FHIR)で電子化して共有することで、 患者さんが病院をまたいでも、正確な医療情報が素早く伝わるようになります。

医院長・事務長が確認すること

使っている電子カルテは3文書6情報に対応できるか?

自院の電子カルテが「電子カルテ情報共有サービス」に対応しているかどうか、ベンダーに確認が必要です。 対応予定がないベンダーの場合、将来の乗り換えも視野に入れる必要があります。

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標準型電子カルテとは?——紙カルテ医院への影響

まだ紙カルテの医院でも、2030年は確実にやってくる

「標準型電子カルテ」とは、国が推進する、小規模な医療機関でも導入しやすい、標準化された電子カルテのことです。

現在、日本には紙のカルテで運営している医療機関がまだ多くあります。 また、電子カルテを使っていても、メーカー独自の仕様で、情報共有に対応していないものも多い。

「うちは小さな診療所だから関係ない」は、
2030年には通用しなくなる

厚生労働省は「遅くとも2030年には概ねすべての医療機関において、必要な患者の医療情報を共有するための電子カルテの導入を目指す」と明記しています。これには、小規模診療所も含まれます。

⚠️

工程表を見て「今すぐやること」リスト

先手を打つことが、将来の大きな負担を防ぐ

工程表を踏まえると、医院長・事務長が今すぐ取り組むべきことは次のとおりです。

今すぐ確認・実行すべき5つのこと
オンライン資格確認は正常に動いているか? → 動いていなければ最優先で対応
使っている電子カルテは「電子処方箋」に対応しているか? → ベンダーに確認
電子カルテは「電子カルテ情報共有サービス」(3文書6情報)に対応しているか?
ベンダーの「HL7 FHIR対応」の予定・ロードマップは確認できているか?
紙カルテや旧式システムは、いつ・どのように切り替えるか計画があるか?
工程表は「国がいつまでに何をするか」を示していますが、医療機関側の準備は医療機関自身が進める必要があります。補助金・支援事業のタイミングも逃さないよう注意が必要です。
💡

工程表を活かす「逆算思考」

2030年ゴールから今を見ると、準備のタイミングが見えてくる

2030年
電子カルテ標準化
2026〜
情報共有本格化
今すぐ
ベンダー確認・設備整備
令和8年改定
診療報酬DX開始
普及中
電子処方箋・資格確認
計画を立てる
紙カルテ医院の移行

工程表が示すのは「国のスケジュール」です。 しかし、医療機関にとって大切なのは、そのスケジュールから逆算して、自院の準備計画を立てることです。

まとめ:工程表は「急かされている」のではなく「チャンスが並んでいる」

工程表を見て「また対応しなければ」と感じる方もいるかもしれません。しかし、見方を変えれば、国が整備してくれるインフラを使って、業務を効率化するチャンスが並んでいるとも言えます。

次回・第4回では、「令和8年度診療報酬改定の基本方針」を取り上げます。 工程表とつながって見えてくる「診療報酬がなぜ変わるのか」の本質を解説します。

医院長・事務長向けFAQ

Q. 医療DX工程表とは何ですか?

医療DX令和ビジョン2030を実現するために、オンライン資格確認、電子処方箋、電子カルテ情報共有サービス、 標準型電子カルテ、診療報酬改定DXなどを、いつ・どの順番で進めるかを示した国のロードマップです。

Q. クリニックの医院長・事務長は何から確認すべきですか?

まずはオンライン資格確認が安定運用できているか、電子処方箋に対応できるか、現在の電子カルテが 3文書6情報やHL7 FHIRなどの標準規格に対応予定かをベンダーへ確認することが重要です。

Q. 紙カルテのクリニックにも関係ありますか?

はい。2030年に向けて、概ねすべての医療機関で必要な患者情報を共有できる状態を目指す流れが示されています。 紙カルテや旧式システムを利用している医療機関は、移行時期と費用、補助金・支援事業の活用を含めて計画する必要があります。

工程表への対応、どこから始めればよいか迷っていませんか?

365メディカルでは、医療DX工程表の内容を踏まえた、自院に合った対応計画の整理を支援しています。 電子カルテのベンダー確認から、施設基準・届出の整理まで、幅広くご相談いただけます。

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参考・参照

  • 厚生労働省「医療DXの推進に関する工程表」
  • 厚生労働省「医療DX令和ビジョン2030」
  • 厚生労働省「電子カルテ情報共有サービス」関連資料
  • 厚生労働省「電子処方箋の普及について」
  • 厚生労働省「標準型電子カルテについて」関連資料
免責事項
本記事は、医療機関向けに制度やガイドラインの全体像をわかりやすく整理することを目的とした一般的な情報提供です。 実際の制度対応・システム選定・届出については、必ず最新の厚生労働省資料・通知・専門家の助言等をご確認ください。