365メディカル連載|第9回

地域医療構想
——あなたの医院の役割は
どう変わる?

2040年を見据えた「医療機能の再設計」。
急性期・回復期・在宅・外来の役割分担が明確になっていく

🏘️地域医療
🗺️役割分担
👴高齢化対応
🤝連携強化

クリニックの医院長・事務長向け:地域医療構想の実務ポイント

本記事では、地域医療構想について、クリニック・医療機関の医院長、事務長、管理部門が押さえるべき 制度対応、医療DX、診療報酬改定、証憑管理との関係をわかりやすく整理します。

地域医療構想 新たな地域医療構想 かかりつけ医機能 クリニック 役割 在宅医療 地域連携 2040年 医療 診療報酬改定

「地域医療構想」——これは、診療報酬改定や医療DXの背景にある「最大の政策」です。 2040年に向けて、地域ごとに「どの医療機関が・どの機能を・どれだけ担うか」を再設計する取り組みです。 あなたの医院の将来像にも、直接関わってきます。

🤔
「地域医療構想って、大病院の話でしょ?」
実は、診療所・クリニックも「地域の役割分担」の中に位置づけられています。これを知っているかどうかで、経営判断が変わります。
🌍

「地域医療構想」が生まれた背景

2040年、日本の医療需要はどう変わるのか——人口構造から読む「医療の未来」

地域医療構想が生まれた背景には、日本の人口構造の大きな変化があります。

🎂
ケーキで例えると…

昔の日本は、若い人(働く世代)が多く、お年寄りが少ない「三角形」型の人口でした。 少ない高齢者を、多くの若者が支えていた。

でも2040年には、お年寄りがとても多く、若い人が少ない「逆三角形」型になります。 高齢者の医療需要がピークを迎え、支える若い世代は少ない。 今と同じ仕組みでは、地域の医療は回らなくなります。

📈

高齢者医療需要の増大

2040年頃に後期高齢者数がピークを迎える地域が多い。慢性疾患・認知症・複数疾患を持つ高齢者の医療需要が急増。入院より「在宅・外来・介護連携」での対応が求められる。

📉

医療従事者の不足

医師・看護師・介護職が不足する地域が増える。特に地方では「医師偏在」が深刻化。人手が少なくても回る仕組みが不可欠。

🗺️

地域医療構想とは?——「役割の地図」を作ること

都道府県が「二次医療圏」単位で、医療機関の役割分担を整理する

「地域医療構想」とは、都道府県が「構想区域(主に二次医療圏)」という地域単位で、将来の医療需要や病床の必要量を推計し、医療機関の役割分担を整理する仕組みです。

「この地域に、どの機能が・いくつの病床が・どれだけ必要か」を
データで計算し、整備していく

厚生労働省は2025〜2026年に新たな地域医療構想策定ガイドラインを整備し、都道府県が2040年を見据えた構想を更新しています。

🏥

6つの医療機能区分——あなたの医院はどれに当たる?

急性期・回復期・慢性期・外来・在宅・介護連携——それぞれの役割と方向性

地域医療構想では、医療機能を主に6つに分けて整理します。

🚨

急性期

重篤な患者さんへの集中的な治療。手術・ICU・救急など。大病院への集約化が進む方向。

🔄

回復期

急性期後のリハビリ・在宅復帰支援。高齢者救急にも対応が求められる。需要が急増する機能。

🌿

慢性期

長期療養・医療・介護連携・在宅移行。施設・在宅への移行が促進される方向。

🏪

外来(診療所)

かかりつけ機能・紹介受診重点機能。「かかりつけ医」としての役割がより明確になる方向。

🏠

在宅医療

地域包括ケア・在宅医療連携・訪問診療。高齢化に伴い需要が急増する機能。

🤲

医師確保・介護連携

医師偏在対策・地域ごとの医師配置。介護施設との連携・多職種協働が重要に。

🔗

診療報酬は「地域医療構想を実現する道具」

「どの機能を担ってほしいか」を診療報酬で経済的に誘導する

地域医療構想と診療報酬改定は、密接に結びついています。

重要な視点

診療報酬改定は「地域医療構想の実現ツール」

国は「どの医療機関に・どの機能を担ってほしいか」という地域医療構想の方向性に沿って、 診療報酬を設計します。 診療報酬で高く評価される機能=国が地域で増やしてほしい機能、 評価が低くなる機能=国が減らしたい or 役割を見直してほしい機能、ということになります。

医療機能診療報酬の方向性医院への意味
急性期(高度医療)大病院への集約・高度急性期の評価診療所には直接影響少。紹介・逆紹介を整備
回復期リハビリ高齢者対応・在宅復帰の評価強化回復期機能を持つ医院は、評価が充実してくる
外来・かかりつけかかりつけ機能の評価・紹介受診重点「かかりつけ医機能報告制度」への対応が求められる
在宅医療訪問診療・多職種連携の評価在宅に強みを持つ診療所は、評価が高まる方向
慢性期・介護連携医療・介護の一体的提供の評価介護事業所との連携強化が評価につながる
🏪

「かかりつけ機能」が重要になる——診療所への影響

2024年度から始まった「かかりつけ医機能報告制度」とは何か

地域医療構想の中で、診療所(外来医療)に特に大きな影響があるのが「かかりつけ機能」の強化です。

2024年度から「かかりつけ医機能報告制度」が始まりました。 これは、診療所・病院が「自院がどのようなかかりつけ機能を持っているか」を都道府県に報告する制度です。

🏪
地域のコンビニで例えると…

街に5軒のコンビニがあるとします。 全部同じ品揃えをしていたら、効率が悪い。 でも「A店はお弁当が充実」「B店は薬が揃っている」「C店は朝早く開く」と、それぞれの役割が明確だと、地域全体でカバーできるものが増えます。

診療所も同じです。 「うちは糖尿病の管理に強い」「うちは24時間対応のかかりつけ」「うちは在宅医療が得意」—— 自院の強みと役割を明確にして、地域の医療機能の一部を担うことが求められています。

かかりつけ機能の主な内容として整理されているのは次のとおりです。

💡

医院長・事務長への問いかけ——「うちの役割は何か」

地域医療構想を「外からの脅威」ではなく「経営戦略の機会」として読む

地域医療構想は、医療機関にとって「外から役割を押しつけられる」ように見えるかもしれません。 しかし、見方を変えれば、自院の強みと方向性を明確にするチャンスでもあります。

地域医療構想を踏まえた経営戦略の考え方
自院が位置する二次医療圏の「地域医療構想」を確認する(都道府県のHPで公開)
自院の現在の機能(外来・在宅・専門領域・連携先)を整理する
地域で「足りていない機能」と「自院の強み」を照らし合わせる
「この地域でこの機能を担う」という方向性を明確にする
その機能を評価する診療報酬・加算を最大限活用する

まとめ:地域医療構想を知ることが、中長期の経営判断の基礎になる

2040年ビジョン
人口変化への対応
役割分担
6つの医療機能
かかりつけ機能
診療所の核心
診療報酬との接続
役割=評価につながる
在宅・介護連携
需要が急増する機能
自院の強みを明確化
経営戦略の起点

地域医療構想を「難しい政策の話」として遠ざけてしまうと、気づいたときには経営環境が大きく変わっていたということになりかねません。 自院がどの役割を担い、地域でどのポジションを取るか——その判断が、今後10年の経営の基盤になります。

次回・最終回(第10回)では、これまでの9回をすべて踏まえた「医院長・事務長が今すぐ動くべき5つのポイント」をまとめます。

医院長・事務長向けFAQ

Q. 地域医療構想はクリニックにも関係ありますか?

はい。地域医療構想は、診療報酬改定、医療DX、施設基準、証憑管理、医院運営に関係するため、医院長・事務長が把握すべきテーマです。

Q. 医院長・事務長は何から確認すべきですか?

まず自院の現状、使用中のシステム、届出・HP掲載・研修記録・証憑管理の状態を棚卸しすることが重要です。

Q. 365メディカルには何を相談できますか?

医療DX、診療報酬改定、施設基準、証憑管理、HP掲載、働き方改革、地域医療構想を踏まえたバックオフィス整備について相談できます。

地域医療構想を踏まえた自院の方向性、一緒に整理しませんか?

365メディカルでは、地域医療構想と診療報酬改定を踏まえた自院のポジション整理・戦略立案のご支援を行っています。 「うちはどの方向に進めばいいか」という相談からお気軽にどうぞ。

365メディカルに相談する

参考・参照

  • 厚生労働省「新たな地域医療構想策定ガイドライン(検討会資料)」
  • 厚生労働省「地域医療構想について」
  • 厚生労働省「かかりつけ医機能報告制度について」
  • 厚生労働省「外来医療の機能分化・連携について」
免責事項
本記事は、医療機関向けに制度やガイドラインの全体像をわかりやすく整理することを目的とした一般的な情報提供です。実際の届出・計画策定については、必ず最新の厚生労働省資料・都道府県担当部署・専門家の助言等をご確認ください。