365 Medical Blog|医療DX・地域医療構想

2028年、日本の医療提供体制が大きく変わる

医院長・事務長が知っておくべき「4つのパラダイムシフト」

新たな地域医療構想、外来医師偏在対策、病床数適正化、医療DX。これらは別々の政策ではなく、2040年に向けた医療提供体制再編の一連の流れです。

「これまで通り、地域の患者さんを受け入れていればよい」
「電子カルテや医療DXは、余裕ができてから考えればよい」
「診療所の開業や病院経営は、これまでの延長線上で考えればよい」

そのような医療機関経営の“当たり前”が、2028年度に向けて大きく変わろうとしています。

背景にあるのは、2040年を見据えた新たな地域医療構想です。85歳以上人口の増加、現役世代の減少、医療人材不足、地域ごとの医療需要の変化に対応するため、医療提供体制全体の再設計が進められています。

これからの医療機関に求められるのは、単に「診療を行うこと」ではありません。

重要なのは、地域の中で自院がどの機能を担うのかを明確にし、その役割をデータ・記録・届出で説明できる体制を整えることです。

本記事では、2028年度に向けて医療機関が押さえておくべき4つの変化を、365メディカルの視点から整理します。

1. 2028年度までに「病院の役割」がより明確化される

新たな地域医療構想で特に重要なのが、各病院の医療機関機能の明確化です。

2026年度からは、従来の病床機能報告に加え、医療機関が自ら担っている機能や、2040年に向けて担うべき機能などを報告する仕組みが進められます。

そのうえで、地域医療構想調整会議において協議し、遅くとも2028年度までに、各医療機関が2040年に向けて担う機能を決定・明確化する方向が示されています。

医療機関機能 主な役割
急性期拠点機能 救急、手術、高度急性期医療などを担う。
高齢者救急・地域急性期機能 高齢者救急、早期リハビリ、退院支援などを担う。
在宅医療等連携機能 在宅医療、介護施設連携、緊急時入院対応などを担う。
専門等機能 特定疾患、回復期、慢性期、リハビリ等に特化する。

これまで地域の病院は、「幅広く診る」「できる範囲で受け入れる」という形で運営されてきた面があります。しかし今後は、地域の医療資源が限られる中で、各病院がどの役割を担うのかをより明確にすることが求められます。

これは病院だけの話ではありません。
病院の役割が整理されると、周辺のクリニック、歯科医院、薬局、介護事業所にも影響が及びます。

紹介・逆紹介、在宅医療、退院後フォロー、医療・介護連携、オンライン診療、診療情報共有など、地域全体で患者を支える体制が必要になるからです。

365メディカルの視点

  • 自院が地域で担う役割を明確にすること
  • その役割を実績・記録・届出で説明できること
  • 医療DXを活用して、連携と証跡管理を行えること

2. 診療所開業にも「地域で不足する機能」が問われる時代へ

次に大きな変化となるのが、外来医師過多区域における無床診療所への対応です。

2026年4月以降、外来医師過多区域で新たに無床診療所を開設する場合、開業予定の6か月前までに、提供予定の医療機能を届け出る仕組みが導入されます。

さらに、地域で不足する医療機能を担うよう要請される場合があります。

地域で不足する機能の例

  • 夜間・休日診療への協力
  • 在宅医療の提供
  • 学校医・産業医等の地域活動
  • 医師不足地域への協力
  • 地域で不足している外来機能の提供

重要なのは、外来医師過多区域での開業が「禁止」されるわけではないという点です。

ただし、これまでのように、収益性や立地だけを重視して開業するモデルは成立しにくくなります。

これからの開業では、地域にとって必要な医療を担っているか、行政や地域医療の協議の場に対して説明できるかが重要になります。

さらに、要請や勧告に応じない場合には、通常6年である保険医療機関の指定期間が短縮される仕組みも示されています。勧告に従わない状態が続く場合、指定期間が3年、再々指定以降では2年となるケースも整理されています。

今後は、開業前から次のような視点を踏まえた事業設計が必要になります。

  • 地域医療計画
  • 外来医師偏在指標
  • 在宅医療ニーズ
  • 夜間・休日対応の可能性
  • 行政・医師会との関係性

365メディカルでは、これを「開業後に考える課題」ではなく、開業計画・事業計画の段階で組み込むべき経営リスクと捉えています。

3. 病床数の適正化と、医療機関のダウンサイジング

3つ目の変化は、病床数の適正化です。

人口構造の変化により、地域によって医療需要は大きく変わります。特に、現役世代の減少により、医師、看護師、療法士、医療事務などの人材確保はますます難しくなります。

そのため、今後は「病床を維持すること」自体が目的ではなく、地域の需要に合わせて、必要な病床機能を適切に配置することが求められます。

この流れの中で、厚生労働省は病床数適正化緊急支援事業を実施しています。同事業では、病床数の削減に取り組む医療機関に対し、削減病床1床あたり410万4,000円、休床の場合は1床あたり205万2,000円が支給される仕組みが示されています。

検討項目 内容
病床機能の見直し 急性期、回復期、慢性期、在宅支援との関係を整理する。
人員配置 看護師・療法士・医師・事務職の再配置を検討する。
収益構造 入院収益、外来収益、在宅医療、連携加算等を再設計する。
補助金活用 支援事業の要件確認、申請、実績報告を行う。
証跡管理 病床削減、届出、会議資料、行政提出資料を管理する。

重要なのは、「補助金をもらうこと」ではなく、「再編後の運営体制をどう作るか」です。

病床を減らす場合でも、地域医療への責任はなくなりません。むしろ、少ない人員と設備で、より効率的に医療を提供する体制が求められます。

そのためには、業務の標準化、記録管理、届出管理、診療情報連携、職員の役割整理が不可欠です。

4. 医療DXは「便利なツール」から「制度インフラ」へ

4つ目の変化は、医療DXの位置づけです。

これまで医療DXは、「業務効率化」「ペーパーレス化」「便利なシステム導入」と捉えられることが多くありました。

しかし今後は、医療DXは医療制度そのものを支えるインフラになります。

厚生労働省は、電子カルテ情報共有サービスを全国医療情報プラットフォームの仕組みの一つとして位置づけています。同サービスでは、診療情報提供書、健診結果、臨床情報、患者サマリーなどを全国の医療機関等で共有することが想定されています。

また、政府は2030年末までに電子カルテの普及率を概ね100%とする方針を示しており、クラウド技術の活用や標準仕様に即した電子カルテの普及が進められています。

医療機関に求められる対応

  • 電子カルテ・標準型電子カルテへの対応
  • 電子カルテ情報共有サービスへの接続
  • 診療情報提供書や患者情報の電子的共有
  • オンライン資格確認・医療DX関連施設基準への対応
  • サイバーセキュリティ対策
  • 診療報酬改定に応じた届出・記録管理
  • 情報共有に関する患者説明・院内運用整備

医療DXは、機器やソフトを導入すれば終わりではありません。
制度対応、施設基準、掲示義務、診療報酬請求、記録管理、情報連携まで含めて、日常業務に落とし込む必要があります。

365メディカルが考える、これからの医療機関経営

2028年度に向けた変化を一言で表すなら、医療機関経営は、 「診療できるか」から「地域の中で役割を果たし、その証拠を示せるか」へ変わる ということです。

1

地域での役割を明確にする力

自院が外来、在宅、歯科、予防、慢性疾患管理、医療・介護連携のどこを担うのか整理します。

2

届出・施設基準・記録を管理する力

「やっている」だけでは不十分です。届出、掲示、記録、証憑、会議資料、運用実績を管理します。

3

医療DXを運用に落とし込む力

電子カルテ、オンライン資格確認、電子的診療情報連携、文書管理を現場業務に組み込みます。

4

人手不足に対応する業務設計力

医院長や事務長がすべてを抱え込まず、外部支援も含めて運営体制を再設計します。

365RegistryとMSOが果たす役割

365メディカルでは、これからの医療機関に必要な支援として、365RegistryMSO支援を重視しています。

365Registryは、医療機関に必要な届出、証憑、掲示、施設基準、補助金関連資料などを整理・管理し、対応状況を可視化する仕組みです。

一方、MSO支援では、医院長・事務長の業務負担を軽減しながら、医療DX、診療報酬改定対応、補助金活用、バックオフィス改善、地域連携体制の整備を支援します。

今後の医療機関に必要な3つの力

  • 制度を読む力
  • 現場に落とし込む力
  • 証拠を残す力

365メディカルは、医療機関がこれらを自院だけで抱え込まず、効率的に対応できる体制づくりを支援します。

まとめ:2028年は、医療機関の「役割」と「運営力」が問われる転換点

2028年度に向けて、日本の医療提供体制は大きく変わります。

  • 病院は、地域の中で担う機能を明確にすることが求められる
  • 診療所は、地域で不足する外来機能や在宅医療への関与が問われる
  • 病床数は、地域需要と人材確保の現実に合わせて適正化が進む
  • 医療DXは、単なる効率化ではなく、制度インフラとして位置づけられる

これからの医療機関に必要なのは、変化を待つことではありません。

早い段階から、自院の役割を整理し、制度対応を可視化し、医療DXと記録管理を整え、医院長・事務長の負担を減らす運営体制を作ることが重要です。

2040年に向けた医療再編は、すでに始まっています。2028年は、その流れが現場により具体的に表れる重要な節目になります。

365メディカルは、医療機関がこの変化に対応し、地域で必要とされる医療を継続できるよう、制度対応・医療DX・MSO支援の面から伴走していきます。

医療DX・制度対応を、医院長・事務長だけで抱え込まない

365Registry、MSO支援、診療報酬改定対応、施設基準・証憑管理など、医療機関の運営基盤づくりを365メディカルが支援します。

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引用・参考

  • 厚生労働省「新たな地域医療構想に関するとりまとめの概要」
  • 厚生労働省「新たな地域医療構想策定ガイドラインについて」
  • 厚生労働省「電子カルテ情報共有サービス」
  • 厚生労働省「医療法等改正を踏まえた対応について」
  • 厚生労働省「病床数適正化緊急支援事業」
  • GemMed「2028年度までに、全病院が医療機関機能を決定・明確化」
  • 福岡県「令和8年度病床数適正化緊急支援事業について」

免責事項

本記事は、公開情報をもとに、医療機関経営者・医院長・事務長向けに制度動向をわかりやすく整理したものです。制度内容、補助金・支援事業、診療報酬上の取扱い、届出要件等は今後変更される可能性があります。

実際の申請、届出、施設基準対応、経営判断にあたっては、厚生労働省、地方厚生局、都道府県、関係団体等の最新情報を確認し、必要に応じて専門家へご相談ください。

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