令和8年度 診療報酬改定 解説

【2026年度改定】新設「電子的診療情報連携体制整備加算」
2024年度からの変更点と算定のポイントを徹底解説

医療DXは「整備」から「活用実績」の時代へ。新加算への対応を、経営アップデートの機会に。

📅 公開:2026年6月1日 🔄 更新:2026年6月28日 ✍️ 365メディカル編集部 🏷️ 診療報酬改定 / 医療DX

加算の「一本化」と「再編」― なぜ統合されたのか

2024年度改定で運用されていた「医療情報取得加算」「医療DX推進体制整備加算」は、2026年度改定をもって廃止され、新たな「電子的診療情報連携体制整備加算」へと一本化されました。

再編の狙いは、評価を簡素化しながら「情報の取得」から「情報の連携・活用」へステップアップさせることにあります。マイナ保険証の普及、電子処方箋、電子カルテ情報共有サービスといったデジタルインフラの整備が加速する中、医療機関が実際にDXをどれだけ活用しているかを問う仕組みへと進化しました。

加算の統廃合イメージ(2024年度 → 2026年度)

医療情報取得加算 (2024年度まで) 医療DX推進体制整備加算 (2024年度まで) 廃 止 廃 止 電子的診療情報連携 体制整備加算 (2026年6月 新設) 新 設

2024年度からの主な変更ポイント

今回の改定による変更は以下の4つのポイントに集約されます。

CHANGE 01
評価の軸が「整備」→「実績(利用率)」へ
マイナ保険証の利用率(30%以上)が施設基準の必須項目に。実際の活用度が算定区分に直接影響するようになりました。
CHANGE 02
初診料加算の引き上げと集約(6区分→3区分)
従来の最大12点・6区分から、15点・9点・4点の3区分へ整理。最高区分が15点に引き上げられました。
CHANGE 03
再診料加算の新設・統合
再診料・外来診療料への加算として、区分にかかわらず一律2点(月1回)が新たに設けられました。
CHANGE 04
入院料への加算が初めて創設
従来は外来中心でしたが、今改定で入院初日に160点(加算1)/80点(加算2)の加算が新設されました。

点数体系と算定ルールの詳細

算定項目 加算1 加算2 加算3 備考
初診料 15点9点4点 月1回に限り算定
再診料・外来診療料 2点2点2点 月1回。区分問わず一律
入院料(入院初日) 160点80点 入院初日のみ算定

図1:加算区分別 点数ビジュアル比較

■ 初診料加算(最大15点)

加算1(最上位)
15点
電子処方箋+電子カルテ情報共有サービス+適切な電子カルテ、すべて対応
加算2
9点
電子処方箋・電子カルテ・地域ネットワークのいずれか1つに対応
加算3
4点
基本要件(オンライン請求・資格確認・利用率30%以上 等)のみ充足

■ 入院料加算(入院初日)

加算1
160点
加算2
80点

注意すべき算定ルール

⚠️
「明細書発行体制等加算」との併算定は不可 同一月において「明細書発行体制等加算」との重複算定はできません。届出区分の選択に注意してください。
ℹ️
「資格確認書」での受診者にも算定可能 施設基準を満たして届出をしていれば算定可能ですが、資格確認書受診者が増えるとマイナ保険証利用率(30%以上)を下回るリスクが生じます。

施設基準:加算1・2・3の違いとは?

算定できる区分は医療機関のDX対応レベルに応じて決まります。まず共通の基本要件を満たした上で、上位区分の追加要件に対応するという積み上げ型の構造です。

全区分共通(加算3以上)
基本要件 ― 必ずクリアすべき7項目
  • オンライン請求を行っていること
  • 明細書を無償で発行できる体制があること
  • オンライン資格確認の体制があること
  • 医師が診察室でシステムから取得した情報を閲覧・活用できること
  • マイナ保険証の利用率が30%以上であること(最重要)
  • DX推進体制・情報活用について院内掲示およびウェブサイトに掲載していること
  • マイナポータルの情報を活用した健康管理相談に応じる体制があること
加算2(初診料 9点)
追加要件 ― 以下のいずれか1つに対応
  • 電子処方箋を発行する体制
  • 厚生労働省が認証する電子カルテ(またはガイドライン準拠電子カルテ)を有していること
  • 電子カルテ情報共有サービスを活用する体制、または一定要件を満たす地域医療情報連携ネットワークへの参加
加算1(初診料 15点)最上位
追加要件 ― 以下のすべてに対応
  • 電子処方箋の発行体制(必須)
  • 電子カルテ情報共有サービス(または地域ネットワーク)への対応(必須)
  • 上記に対応した適切な電子カルテの保有(必須)

電子カルテ情報共有サービスと地域ネットワーク

電子カルテ情報共有サービスとは?

国が管理するサーバーを介して、医療機関間で「3文書6情報」(診療情報提供書・退院時サマリー・健診結果・傷病名・アレルギー・薬剤・検査など)をHL7形式のデジタルデータで共有する仕組みです。

📅
全国運用開始は2027年1月予定 2026年6月の改定時点では多くの医療機関が物理的に導入できない状況にあります。経過措置として「当面の間、基準を満たしているものとみなす」といった柔軟な運用が示されており、地域医療連携ネットワークの活用で要件を満たす方法も認められています。
📋
地域ネットワーク活用の注意点 単に参加しているだけでは不十分です。「2ヶ月に1回以上、情報の閲覧・共有を行っている」という具体的な運用実績が求められます。

算定に向けた準備チェックリストとスケジュール

今すぐ確認すべきこと

  • マイナ保険証利用率のチェック直近の実績が30%を超えているか確認。下回っている場合は、窓口での声掛け強化やポスター掲示を今すぐ実施しましょう。
  • ウェブサイトの更新新加算では「DX推進体制に関する事項」のウェブサイト掲載が必須。院内掲示だけでは要件を満たしません。
  • システムベンダーへの問い合わせ電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスへの対応予定と、必要なオプション費用を早めに確認してください。

届出スケジュール

2026年4〜5月上旬
準備期間:利用率確認・サイト更新・ベンダー相談
マイナ保険証利用率のチェック、ウェブサイト掲載内容の整備、システム対応確認を進めましょう。
2026年5月7日〜6月1日
地方厚生局への届出期間
6月1日から算定する場合、この期間内に届出が必要です。オンライン申請も可能で、記載ミスや郵送の手間を削減できます。
2026年6月1日
新加算の算定開始
「電子的診療情報連携体制整備加算」の算定が開始されます。届出区分に応じた点数が適用されます。
2027年1月(予定)
電子カルテ情報共有サービス 全国運用開始
全国運用開始後は、加算1・2の要件としてより本格的な対応が必要になります。今から準備を進めることを推奨します。

まとめ:DXを「経営の力」にするために

365メディカルからのメッセージ

「電子的診療情報連携体制整備加算」への移行は、単なる名称変更や点数調整ではありません。国が「医療DXはもはや整えて当たり前のインフラであり、これからはどう使いこなすかが問われる」という明確なメッセージを発したものです。

加算1の15点を目指すことは収益面で重要ですが、それ以上に、電子処方箋や情報共有サービスを活用することで、重複投薬の防止・診療の質向上・事務負担の軽減といった実利をどう引き出すかが、これからのクリニック経営の鍵となります。

15点
加算1の初診料
最高点数
30%
マイナ保険証
利用率の必須水準
160点
入院加算1
(入院初日)
📌 免責事項

本記事は、医療機関の皆様への情報提供を目的として作成したものであり、特定の算定・届出行為を推奨・保証するものではありません。実際の算定・届出にあたっては、必ず最新の公式資料および管轄の地方厚生局の案内をご確認の上、自院の状況に即した判断を行ってください。本記事の情報に基づいて生じたいかなる損失・損害についても、一般社団法人365メディカルおよび執筆者は責任を負いかねます。

📚 参考文献・引用
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要」(2026年)
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定に係る施設基準等の届出に関する通知」
  • 厚生労働省「電子的診療情報連携体制整備加算に関する疑義解釈」
  • 社会保険診療報酬支払基金「オンライン資格確認等システム利用実績データ」(2026年)
※本記事の内容は2026年6月時点の公開情報に基づいています。診療報酬に関するルールは随時改定・疑義解釈等により変更されることがあります。