加算の「一本化」と「再編」― なぜ統合されたのか
2024年度改定で運用されていた「医療情報取得加算」と「医療DX推進体制整備加算」は、2026年度改定をもって廃止され、新たな「電子的診療情報連携体制整備加算」へと一本化されました。
再編の狙いは、評価を簡素化しながら「情報の取得」から「情報の連携・活用」へステップアップさせることにあります。マイナ保険証の普及、電子処方箋、電子カルテ情報共有サービスといったデジタルインフラの整備が加速する中、医療機関が実際にDXをどれだけ活用しているかを問う仕組みへと進化しました。
加算の統廃合イメージ(2024年度 → 2026年度)
2024年度からの主な変更ポイント
今回の改定による変更は以下の4つのポイントに集約されます。
点数体系と算定ルールの詳細
| 算定項目 | 加算1 | 加算2 | 加算3 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 初診料 | 15点 | 9点 | 4点 | 月1回に限り算定 |
| 再診料・外来診療料 | 2点 | 2点 | 2点 | 月1回。区分問わず一律 |
| 入院料(入院初日) | 160点 | 80点 | ― | 入院初日のみ算定 |
図1:加算区分別 点数ビジュアル比較
■ 初診料加算(最大15点)
■ 入院料加算(入院初日)
注意すべき算定ルール
施設基準:加算1・2・3の違いとは?
算定できる区分は医療機関のDX対応レベルに応じて決まります。まず共通の基本要件を満たした上で、上位区分の追加要件に対応するという積み上げ型の構造です。
- オンライン請求を行っていること
- 明細書を無償で発行できる体制があること
- オンライン資格確認の体制があること
- 医師が診察室でシステムから取得した情報を閲覧・活用できること
- マイナ保険証の利用率が30%以上であること(最重要)
- DX推進体制・情報活用について院内掲示およびウェブサイトに掲載していること
- マイナポータルの情報を活用した健康管理相談に応じる体制があること
- 電子処方箋を発行する体制
- 厚生労働省が認証する電子カルテ(またはガイドライン準拠電子カルテ)を有していること
- 電子カルテ情報共有サービスを活用する体制、または一定要件を満たす地域医療情報連携ネットワークへの参加
- 電子処方箋の発行体制(必須)
- 電子カルテ情報共有サービス(または地域ネットワーク)への対応(必須)
- 上記に対応した適切な電子カルテの保有(必須)
電子カルテ情報共有サービスと地域ネットワーク
電子カルテ情報共有サービスとは?
国が管理するサーバーを介して、医療機関間で「3文書6情報」(診療情報提供書・退院時サマリー・健診結果・傷病名・アレルギー・薬剤・検査など)をHL7形式のデジタルデータで共有する仕組みです。
算定に向けた準備チェックリストとスケジュール
今すぐ確認すべきこと
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マイナ保険証利用率のチェック直近の実績が30%を超えているか確認。下回っている場合は、窓口での声掛け強化やポスター掲示を今すぐ実施しましょう。
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ウェブサイトの更新新加算では「DX推進体制に関する事項」のウェブサイト掲載が必須。院内掲示だけでは要件を満たしません。
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システムベンダーへの問い合わせ電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスへの対応予定と、必要なオプション費用を早めに確認してください。
届出スケジュール
まとめ:DXを「経営の力」にするために
365メディカルからのメッセージ
「電子的診療情報連携体制整備加算」への移行は、単なる名称変更や点数調整ではありません。国が「医療DXはもはや整えて当たり前のインフラであり、これからはどう使いこなすかが問われる」という明確なメッセージを発したものです。
加算1の15点を目指すことは収益面で重要ですが、それ以上に、電子処方箋や情報共有サービスを活用することで、重複投薬の防止・診療の質向上・事務負担の軽減といった実利をどう引き出すかが、これからのクリニック経営の鍵となります。
最高点数
利用率の必須水準
(入院初日)
本記事は、医療機関の皆様への情報提供を目的として作成したものであり、特定の算定・届出行為を推奨・保証するものではありません。実際の算定・届出にあたっては、必ず最新の公式資料および管轄の地方厚生局の案内をご確認の上、自院の状況に即した判断を行ってください。本記事の情報に基づいて生じたいかなる損失・損害についても、一般社団法人365メディカルおよび執筆者は責任を負いかねます。
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要」(2026年)
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定に係る施設基準等の届出に関する通知」
- 厚生労働省「電子的診療情報連携体制整備加算に関する疑義解釈」
- 社会保険診療報酬支払基金「オンライン資格確認等システム利用実績データ」(2026年)