医療機関は「診療だけしていればよい時代」ではなくなった
日本の医療機関は今、大きな転換点に立っています。 2026年度診療報酬改定では、診療報酬本体について、2026年度はプラス2.41%、2027年度はプラス3.77%、2年度平均でプラス3.09%という高い水準の引き上げが示されています。
一見すると、これは病院や診療所にとって明るいニュースです。 人件費、物価、光熱費、食材費、委託費が上昇するなかで、診療報酬本体の引き上げは、医療現場の苦境が政策的に認識されたことを意味します。
しかし、365メディカルは、この動きを「一時的な追い風」と見るだけでは不十分だと考えています。 なぜなら、医療機関の経営危機は、診療報酬の増減だけでは説明できない段階に入っているからです。
いま医療機関に求められているのは、単なる収入増ではありません。 施設基準、WEB掲示、医療情報システム安全管理、サイバーセキュリティ、証憑管理、加算管理、労務管理を含めた 「経営管理の仕組み化」です。
一般病院の7割超が赤字という現実
厚生労働省の医療経済実態調査に関する報道では、2024年度の一般病院の72.7%が赤字、平均利益率はマイナス7.3%とされています。 また、四病院団体協議会の調査でも、2024年度の医業利益赤字病院は7割を超える水準で推移していると報告されています。
これは、単に一部の病院の経営努力が足りないという話ではありません。 公立病院、民間病院、地域中核病院、小規模病院、急性期病院を問わず、医療機関全体が構造的な赤字圧力を受けています。
最大の理由は、医療機関が一般企業のように価格転嫁できないことです。 電気代が上がっても、医療材料が上がっても、人件費が上がっても、医療機関が自由に保険診療の価格を上げることはできません。 収入は制度で決まり、支出は市場価格で上がる。 ここに、医療機関経営の根本的な苦しさがあります。
なぜ「診療報酬増」だけでは足りないのか
診療報酬本体の引き上げは、医療機関にとって重要な前進です。 しかし、それだけで病院経営が安定するわけではありません。
1. コスト上昇の範囲が広すぎる
医療機関を取り巻くコスト上昇は、人件費だけではありません。 光熱費、食材費、医療材料費、システム利用料、保守費、建物改修費、医療機器更新費、サイバーセキュリティ対策費など、あらゆる支出が増えています。
2. 制度改定を収益化するには実務対応が必要
診療報酬が上がっても、すべての医療機関が自動的に収益改善できるわけではありません。 施設基準の届出、算定要件の確認、院内掲示・WEB掲示の更新、研修記録、運用記録、証憑管理が整っていなければ、制度変更を十分に活用できない可能性があります。
3. 「取れる加算を取れていない」状態が残っている
多くの医療機関では、取得可能な加算の確認、届出状況の整理、算定要件の継続管理が属人的に行われています。 その結果、要件を満たしているにもかかわらず算定していない、届出後の管理が不十分、証憑が散在しているといった問題が起こります。
診療報酬改定は「制度を知っている医療機関」と「実務に落とし込める医療機関」に差を生みます。 これからは、制度情報を読む力だけでなく、院内の管理体制に変換する力が経営を左右します。
365メディカルが考える医療DXは「経営管理の再設計」である
医療DXという言葉は、電子カルテ、オンライン資格確認、電子処方箋、AI、クラウドといった技術の話として語られがちです。 もちろん、それらは重要です。
しかし、365メディカルが考える医療DXの本質は、単なるシステム導入ではありません。 医療機関の運営を、属人的な管理から、継続可能な仕組みに変えることです。
施設基準管理のDX
どの施設基準を届け出ているのか、どの要件を満たしているのか、どの証憑が必要なのか、いつ更新が必要なのかを一覧化し、継続的に管理する必要があります。
WEB掲示のDX
保険外負担、施設基準、医療DX体制、明細書発行、院内感染対策、キャンセル料、オンライン資格確認など、患者に示すべき情報を整理し、最新状態に保つ必要があります。
医療情報システム安全管理のDX
電子カルテ、レセコン、クラウドサービス、医療情報連携システムを安全に利用するためには、責任分界、アクセス管理、委託先管理、バックアップ、ログ管理、障害時対応を明確にする必要があります。
これらは医療の質を下げるための管理ではありません。 むしろ、医療の質を守るために必要な経営基盤です。
赤字病院時代に必要なのは「守り」と「攻め」の両立
これからの医療機関に必要なのは、単なるコスト削減ではありません。 必要なのは、守りの管理と攻めの収益改善を同時に進めることです。
守りの管理
施設基準、WEB掲示、医療情報システム安全管理、サイバーセキュリティ、BCP、委託先管理、証憑管理を整備し、監査や行政対応に耐えられる状態を作ることです。
攻めの収益改善
取得可能な加算を確認し、算定漏れを減らし、医療DX、地域連携、在宅医療、情報連携などの制度変化に対応することです。
診療報酬改定のたびに、「何が変わったのか」「自院に関係する項目は何か」「届出が必要か」「掲示が必要か」「算定できるか」を確認する体制がなければ、制度改定は収益機会ではなく、事務負担だけを増やすものになります。
365メディカルが支援する領域
365メディカルは、医療機関が本来の医療提供に集中できるよう、医療機関の管理業務を可視化し、継続管理できる仕組みづくりを支援します。
- 施設基準管理の整理
- WEB掲示・院内掲示の整備
- 証憑管理・更新期限管理
- 医療情報システム安全管理の体制整備
- 委託先管理・責任分界の整理
- 加算取得状況の確認
- 医療DX関連体制の確認
これからは「届け出て終わり」ではなく、「届け出た後に維持できているか」が問われる時代です。 施設基準、掲示、研修、記録、委託先管理、システム安全管理をバラバラに扱うのではなく、医療機関の経営管理インフラとして一体的に整える必要があります。
赤字病院が増える時代において、医療機関に余力はありません。 だからこそ、現場の努力だけに頼るのではなく、外部の専門支援やクラウドサービスを活用し、少人数でも管理できる仕組みを持つことが重要です。
まとめ|医療崩壊の正体は、現場の努力不足ではない
病院の赤字や閉院が報じられると、ときに「経営努力が足りない」という言葉で片付けられることがあります。 しかし、現場はすでに限界まで努力しています。
医療崩壊の正体は、医療行為そのものの問題だけではありません。 医療を支える経営管理、制度対応、情報管理、安全管理、施設基準管理が、現場の人的リソースを超えて複雑化していることにあります。
診療報酬本体の引き上げは重要です。 しかし、それを実際の経営改善につなげるには、施設基準管理、WEB掲示、証憑管理、医療情報システム安全管理を含めた実務体制が必要です。
医療機関が地域から消えれば、困るのは患者であり、住民であり、地域社会です。 365メディカルは、医療機関の経営と運営を支える実務支援を通じて、持続可能な地域医療の維持に貢献していきます。
施設基準・WEB掲示・医療情報システム安全管理を見直しませんか
365メディカルでは、医療機関の施設基準管理、WEB掲示、証憑管理、医療DX体制整備、医療情報システム安全管理をサポートします。 制度改定を「負担」ではなく「経営改善の機会」に変えるために、まずは現状の整理から始めることが重要です。
無料で相談する引用・参考
- GHC「2026→27年度」と物価・人件費が高騰する点踏まえ2026年度2.41%、27年度3.77%の診療報酬本体引き上げ
- JILPT「診療報酬は2026年度、2027年度の2年度平均で3.09%引き上げ」
- 厚生労働省「医療経済実態調査」関連資料
- しんぶん赤旗「一般病院の7割超赤字/厚労省調査 診療所も利益低下」
- m3.com「2024年度、医業利益赤字は73.8%に 医業・経常利益とも悪化」
- 四病院団体協議会「病院経営定期調査」関連報道・公表資料
- 厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」
- 中央社会保険医療協議会における診療報酬改定関連資料
用語集
- 診療報酬本体:医師の技術料、看護師等の人件費、医療機関の基本的な医療提供に関わる報酬部分。薬価や医療材料価格とは区別されます。
- 医療経済実態調査:診療報酬改定の基礎資料として、医療機関の経営状況を把握するために実施される調査です。
- 医業利益:医療機関が本業である医療サービスから得た収益から、医療提供に必要な費用を差し引いた利益です。
- 施設基準:特定の診療報酬を算定するために医療機関が満たすべき人員配置、設備、運用体制、研修、掲示等の要件です。
- WEB掲示:医療機関が施設基準、保険外負担、医療DX体制、明細書発行、院内感染対策等をWEBサイト上で公開する対応を指します。
- 医療DX:デジタル技術を活用し、医療提供体制、情報連携、業務効率、患者サービス、経営管理を改善する取り組みです。
- 医療情報システム安全管理:電子カルテ、レセコン、クラウドサービス等を安全に利用するための管理体制、技術的対策、運用ルール、委託先管理を指します。
- BCP:災害、システム障害、サイバー攻撃、感染症流行などが発生した場合でも、医療提供を継続・早期復旧するための事業継続計画です。
- 証憑管理:届出、研修、点検、契約、委託先管理、掲示、システム管理などの根拠資料を整理・保管し、必要時に提示できるようにする管理です。
免責事項
本記事は、医療機関経営、診療報酬改定、医療DX、施設基準管理、WEB掲示、医療情報システム安全管理に関する一般的な情報提供を目的として作成したものです。 個別の医療機関における診療報酬の算定可否、施設基準の届出要否、WEB掲示義務、医療情報システム安全管理上の対応については、各地方厚生局、厚生労働省通知、診療報酬点数表、疑義解釈、専門家の助言等を確認してください。 本記事の内容に基づく判断・対応により生じたいかなる損害についても、当法人は責任を負いかねます。